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再生医療製品事業

自家培養表皮とは

培養表皮シート
培養表皮シート

小さな切り傷や擦り傷が数日で治癒することからも分かるとおり、皮膚は体の中で最も再生能力が高いもののひとつです。表皮細胞は、旺盛な細胞増殖力で速やかに傷口を覆うことができます。しかし、皮膚が広範囲に失われた場合は、周囲からの正常皮膚の細胞増殖による再生が間に合わないために、生命の危機に直面します。救命するためには、早急に受傷部位全体を何かで覆う必要があります。受傷部位を覆うには、動物や他人の皮膚を一時的に用いることも可能ですが、最終的には体内で異物と認識され、免疫反応により拒絶されて脱落してしまうため、自分の皮膚を用いることが最適です。実は、自分の正常皮膚を受傷部位に移植する「自家植皮術」は、紀元前から施行されている最古の臓器移植なのです。

皮膚が広範囲にわたって失われた場合、移植するために十分な面積の正常皮膚が得られないことがあります。そこで、正常な皮膚から増殖能力が優れた表皮細胞を取り出して人工的に培養し、皮膚のようにシート状にしたものを受傷部位に移植する培養表皮移植の技術が開発されました。培養表皮を受傷部位に移植することによって、水分の保持や感染防御といったバリアとして機能する表皮を再生することができます。

事業化の背景

1975(昭和50)年、米国ハーバード大学医学部のHoward Green 教授らは、ヒトの正常表皮細胞の培養方法を確立しました。彼らはヒト表皮細胞を培養する際に、特殊な細胞(3T3-J2細胞)を使うことで、きわめて良好な培養環境を作り出したのです。この方法によると、ヒトの表皮細胞が十分に増殖し、皮膚類似の膜状構造を呈し、さらに、この膜状に培養された培養表皮が臨床応用され、種々の皮膚欠損症例に有用であることが明らかになってきました。

1983(昭和58)年、重症熱傷(※)を負った米国の2人の幼児に対して、わずかに残った皮膚から培養表皮を作製・移植した実績が、大きな注目を集めました。J-TECは、患者本人の細胞を培養することで得られる培養表皮により、免疫拒絶反応を引き起こす可能性が少なく、あるいはドナーを待つ必要もない新しい移植医療の第一歩として、自家培養表皮の開発を、会社設立直後から開始しました。

(※) 重症熱傷とは、生命に影響をもたらす可能性が高いと考えられるほど広範囲におよぶ熱傷のことをいい、種々の分類によって数値的に定義されています。また顔面や気道の損傷、種々の骨折、その他電撃による損傷なども重症熱傷という定義に含まれます。

J-TECは、培養表皮作製に関する基本技術について名古屋大学大学院医学系研究科の上田実教授の指導を受けた後、培養表皮の開発者である米国ハーバード大学医学部のHoward Green教授から直接指導を受けると同時に、同教授から前述の特殊な細胞である3T3-J2細胞の譲渡を受けました。加えて、自社で自家培養表皮の開発を進める過程においては、Green教授のもとで実際に細胞培養を実施してきたMichele De Luca 博士(現イタリア モデナ大学教授)から、実務レベルでの詳細な技術について直接指導を受け、品質の高い培養表皮を作製する技術と経験を蓄積してきました。

自家培養表皮の移植フロー

図:自家培養表皮の移植フロー

当社製品パイプラインの進捗状況については、中期経営計画をご覧ください。

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