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第10話 私たち企業の想い

再生医療というキーワードをもとに、生きた細胞を使った新しい医療についてお話ししてきました。ティッシュエンジニアリングという方法によって、この新しい医療を達成できる可能性があることもお話ししました。そこで最後の章では、再生医療やティッシュエンジニアリングに取り組んでいる私たち企業の想いをお話ししたいと思います。

再生医療のような新しい医療を実現するためには、その方法が「安全」かつ「有効」なものでなくてはなりません。とても効果がある方法であっても、それが大きな危険をともなうならば、やむなくあきらめざるを得ません。それとは反対に、考えられる危険よりもずっと大きな効果が得られるならば、それを進める価値はあります。新しい医療が私達に届けられるためには、すくなくともこの「安全」であることと「有効」であることの見極めが必要です。先進的な医療が増える中、この見極めをする行政の役割の重要性はどんどん増しています。

日本の健康保険制度はとても充実しているため、私たちはどこの病院のどんな名医にでも診てもらうことができます。さらに、診察を受ける際に支払う費用は一律に決められており、治療に使われた費用の3割程度を負担するだけで、あとは国に支払ってもらうことができます。もちろん、健康保険に加入するための費用はかかるにせよ、他の国々と比較して安価で、かつ、自由に医療機関を選べるという長所があるのです。
その一方では、医療費にあてられる国の財源は限られており、年々厳しい状況に追い込まれています。高齢化社会もその理由のひとつでしょう。高度化する医療技術も費用の高騰をまねく理由です。病院の経営破綻といった象徴的な事実がものがたるように、このままでは誇るべき健康保険制度が崩壊する可能性も否定できません。私たちが当たり前のように受けている医療が、費用負担できないために、今のように安心して受けられなくなったら、いっそ費用のかかる先進的な医療を止めてしまうべきなのでしょうか。それとも、新しい先進的な医療はお金持ちだけのものとして、ふつうは受けることができない治療としてしまう方がいいのでしょうか。

日本はとても高い工業技術を持っていることで知られています。自動車や電化製品では、日本の技術は他の国の方々からも高い評価と信頼を得ています。ところが医療機器となるとすこし状況は異なります。残念ながら私たちが利用している医療機器や材料は、その多くが輸入品です。欧米諸国から買って使っているのです。日本の高い工業技術を生かすことができていません。つまり、医療に使う多くの機械や材料、薬などを輸入に頼っているために、必然的に医療費の増加をまねいているのです。

(実は欧米では、すでにいくらかの生きた細胞が製品として販売されてはいますが、)私たちのからだの細胞を使った人工臓器・組織は始まったばかりです。前回もお話ししましたように、生きた細胞を組み込んだ人工臓器・組織を作るには、今までにはなかったような生産システムを築く必要があります。患者様の細胞を均一に増やし、製品としての品質を確保しなくてはなりません。はじめにお話ししたように、「安全」であることと「有効」であることを担保すべきです。しっかりとした品質を確立し、行政の方々に評価していただいたうえで、晴れてこれが製品となるのです。
私たちは、日本のお国がらでもある「ものづくり」へのこだわりと、私たち企業の高い志で、この細胞を使った新しい医療をすばらしいものとして完成させたいと思っています。そうして、みなさんの健康を守るための技術として役立てば、それは本当にうれしいことです。ゆくゆくは日本製の細胞を組み込んだ製品が、世界でもっとも信頼できるものとして認められ、わが国の産業のなかで確固たる地位を築く日のことを想っているのです。
私たちの想い

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