コラム・トピックス

2025年01月27日【ピックアップ】

自家培養表皮による重症熱傷の生存率向上データを発表

第28回日本熱傷学会東北地方会にJ-TEC井家が登壇いたします

本日、第33回日本熱傷学会関東地方会において、
自家培養表皮による重症熱傷の生存率向上に関して、松村一先生(東京医科大学 形成外科学分野 主任教授)より発表がありましたのでお知らせいたします。

結果の概要は以下の通りでした。

概要

解析対象:

東京都熱傷救急連絡協議会のレジストリーに2009年から2023年までに登録された3,990例の熱傷症例のうち、
熱傷面積が40%未満の症例、4週間以内に死亡した症例、入院期間が不明な症例を除く119例。

評価方法: 自家培養表皮が移植された25例と患者背景を合わせた自家培養表皮が移植されなかった25例を抽出して比較。
結果: 自家培養表皮群では、受傷後6週から9週時点の全ての時点で統計学的に有意に生存率が高かった。
更に、自家培養表皮群で約3週間の培養期間が必要であるにも関わらず、入院期間は両群で有意差がなかった。
結語: 重症熱傷に自家培養表皮を用いることで生存率が向上し、入院期間は伸びなかった。

参考文献:Application of cultured epidermal autograft, JACE(R), improves survival rate in extensive burns: A propensity score matching study using Tokyo registry data.  Hajime Matsumura, Kazuki Shimada, Takako Komiya. Int Wound J. 2024;21:e14952 

自家培養表皮は、自家植皮のための恵皮面積が確保できない重篤な広範囲熱傷で、
かつ、受傷面積として深達性Ⅱ度熱傷創及びⅢ度熱傷創の合計面積が体表面積の30%以上の熱傷を適応対象として、
2007年10月に製造販売承認を取得、2009年1月の保険収載を受けて販売を開始しました。

自家培養表皮は治験症例が極めて限られていることから、有効性及び安全性を確認するための
製造販売後臨床試験の実施と、再審査期間が終了するまでの間、全症例を対象とした使用成績調査の実施が義務づけられました。
当社は、製造販売後臨床試験及び再審査期間である7年間にわたり全症例を対象とする使用成績調査を実施し、
2014年10月に再審査期間が満了し、2015年1月に再審査申請を行いました。
再審査の結果、2017年7月に重症熱傷の【効能、効果又は性能】に変更なく、引き続きの製造販売が認められました。

自家培養表皮はその後、2016年12月に先天性巨大色素性母斑、
2019年7月には表皮水疱症(栄養障害型表皮水疱症及び接合部型表皮水疱症)に対しても
保険適用となっています。

当社は、今後もより多くの患者さんに安定的に自家培養表皮をお届けできるよう努めながら、
引き続き、患者さんの救命と生活の質(QOL)の向上に貢献していきます。

参考リンク: