トップメッセージ

株主・投資家の皆さまへ

代表取締役

株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング
代表取締役 社長執行役員

畠賢一郎

日頃よりジャパン・ティッシュエンジニアリングをご支援いただき、誠にありがとうございます。

当社は、これまで一貫して患者さんご自身の細胞を利用した再生医療のビジネスモデルを構築してまいりました。その結果、自家培養表皮ジェイスをはじめ、自家培養軟骨ジャックなど5つの製品を上市し、これまでに3000例を超える患者さんに提供してきました。自家培養表皮ジェイスは、これまで治療が困難であった重症の熱傷患者さんに使用されているほか、先天性巨大色素性母斑や表皮水疱症の患者さんに新しい治療の選択肢を提供しています。
一方、自家培養軟骨は、治癒が難しい膝関節の軟骨治療に使用されています。前年度までの活動を通じて使用成績調査を完了し、その安全性と有効性が確認されました。長期の経過観察においても有用性が明らかになっています。さらに、昨年度、より多くの患者さんが抱える変形性膝関節症に対する臨床試験を実施し、非常に良好な結果を得ることができました。ご尽力いただいた先生方をはじめ、臨床試験にご協力いただいた患者さんに深く感謝申し上げます。この製品をより多くの患者さんに提供できるよう、引き続き努力してまいります。

当社は、再生医療等製品の開発に関する受託事業を通じて、多くの皆様からさまざまなご要望をいただいております。ご存じの通り、再生医療等製品の安定供給は容易ではありません。製品自体が生きた細胞であることに加え、これらの細胞の性能は必ずしも均一ではありません。細胞培養をより安定的に実現するためには、使用する薬剤の選定や検査方法の確立、製品の包装・輸送に関する工夫が不可欠です。さらに、これらの内容を規制当局との交渉を通じて適切に文書化しなければなりません。当社は、これまでに培った再生医療等製品の製造販売実績をもとに、広く社会に実装可能な製品開発支援を行っています。私たちが目指す再生医療の普及に向けて、これらの受託事業も重要な役割を果たしています。

当社は、再生医療で培った技術を応用し、各種化学物質の毒性試験などの研究開発支援事業を展開しています。ラボサイトシリーズは、化粧品などひとに適用する化学物質の皮膚への刺激性や腐食性などを評価できる製品です。米国でも、動物実験の代替法に対する期待が高まっています。今後、生細胞を用いた評価系の重要性はさらに増していくでしょう。再生医療の開発から始まったこれらの研究開発支援事業も、当社の高い品質確保体制を基盤として成長市場を確立してまいりたいと考えています。

昨年度は、当社にとって『黒字化の実現』という重要なミッションを達成する非常に重要な年でした。必要な研究開発投資を十分に確保しつつ、生産の機械化・効率化、販売活動の促進を行い、経営の合理化も進めました。さらに、受託事業と研究開発支援事業が順調に進展しました。患者さんご自身の細胞を使った再生医療というまったく新しいビジネスモデルの構築を強力に推し進め、『再生医療をあたりまえの医療にする』という目標にまた一歩近づきました。これらすべての経験は私たちにとって非常に貴重です。近い将来、より多くの患者さんに再生医療を提供できる可能性が一層高まりました。
先に述べた通り、3つの事業領域すべてにおいて飛躍が期待されており、それぞれが新しいイノベーションとなる要素を含んでいます。株主の皆様、医療機関の先生方や患者さんはもとより、ともに頑張ってくださる企業の皆様、アカデミアの先生方、行政の方々など、各方面の方々とともに引き続き頑張ってまいりたいと思います。
今後とも、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

2024年6月19日