「がん」領域

J-TECは、自家CAR-T細胞治療技術の製品化に取り組んでいます。

開発中の治療:自家CAR-T細胞製剤による白血病治療

自家CAR-T細胞製剤による治療とは、免疫細胞であるT細胞※1に遺伝子改変を加え、がんに対する攻撃性を高めたCAR-T 細胞を用いて治療する免疫細胞療法です。CAR-T細胞は従来のがん治療に比べ劇的な治療効果があり、体内に何年も生存して効果を持続することがわかりつつあります。日本国内でも、自家CAR-T細胞を用いた治療薬2製品が国の承認を受けています。
自家CAR-T細胞製剤は、血液から採取したT細胞にウイルスベクター※2を用いてCAR遺伝子※3を導入してつくることが一般的ですが、J-TECは名古屋大学と信州大学が共同で開発した、天然由来の酵素を用いたベクターを使用する技術を用いて、製品開発を進めています。
名大・信州大が共同開発したCAR-T細胞の製造技術は、CAR遺伝子を導入する際に従来のウイルスベクターではなく天然由来の酵素を用いた安価なベクターを使用します。またウイルスを工程内にとどめる封じ込め施設・設備や、ベクター由来のウイルスチェックが不要であることから、CAR-T細胞の製造コスト低減が期待出来ます。

  1. リンパ球の一種。ウイルスや細菌に感染した細胞を殺傷するキラーT細胞と、抗体を産生するB細胞やウイルスなどの病原体を破壊する食細胞の働きを促進するヘルパーT細胞などがある。T細胞はある抗原に特異的に結合するT細胞受容体を有し、それを介してその抗原に対する免疫応答を行う。
  2. ベクターとは、細胞内に遺伝子を導入する能力を持つ分子。ウイルスベクターとは、ウイルスが細胞の核内に入り込む性質を利用したベクター。
  3. キメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor ; CAR)をT細胞に発現させるための遺伝子。CARは、T細胞受容体を人工的に改変して作製したタンパク質で、がん細胞の表層に発現する特定の抗原を認識し、T細胞を誘導・活性化する機能を持つ。