保険適用の治療:自家培養角膜上皮による治療

自家培養角膜上皮による角膜上皮幹細胞疲弊症の治療は、2020年6月1日より保険適用となっています。

自家培養角膜上皮による角膜上皮幹細胞疲弊症の治療

人間の眼の角膜は、傷ついて角膜上皮が失われた場合は、角膜輪部から供給された角膜上皮細胞が増殖して速やかに治癒します。しかし、やけどや化学物質が目に入ることなどにより角膜輪部を含む広い領域の角膜上皮が失われると、角膜輪部周囲の血管を伴う結膜上皮が侵入してきます。そうすると、角膜表面が結膜上皮に覆われ、最終的に角膜上皮が混濁して視力が低下してしまいます。
このような病態を「角膜上皮幹細胞疲弊症(LSCD)」と呼びます。LSCDの治療には、患者さま自身の健康な眼から採取した角膜輪部を移植する「自家角膜輪部移植」や、他人(同種)の角膜輪部を移植する「同種角膜輪部移植」があります。しかし「自家角膜輪部移植」は、健常眼からの広範な角膜輪部(角膜輪部の約30~40%)の採取が必要なため侵襲性が高くリスクがあります。
「同種角膜輪部移植」は、長期的な免疫抑制が必要であり、提供してくれるドナーも不足しています。また、「羊膜移植」がおこなわれる場合があります。しかし、羊膜には炎症を抑制したり、細胞の伸展をサポートするなどの効果がありますが、角膜上皮幹細胞は含まれていません。そのため、患者さまの眼に角膜上皮幹細胞が残存している必要があります。
このように、これまではLSCDに対する十分な治療法は存在しませんでした。

再生医療「自家培養角膜上皮」は、こうした課題を克服できる可能性があります。手術は患者さまの角膜上を覆っている結膜上皮細胞を取り除き、培養された「自家培養角膜上皮」シートを移植します。
移植された「自家培養角膜上皮」に含まれる角膜上皮幹細胞が生着(細胞が生きたまま体表面につく)、上皮化し、角膜上皮が再建されます。

角膜の再生医療

Q&A よくある質問

自家培養角膜上皮による角膜上皮幹細胞疲弊症の治療に保険はききますか?
自家培養角膜上皮は、2020年6月1日より角膜上皮幹細胞疲弊症治療向けに保険適用となっています。
自家培養角膜上皮による角膜上皮幹細胞疲弊症の治療はどこで受けられますか?
一定の基準を満たした医療機関で治療が提供されています。ただ、自家培養角膜上皮による角膜上皮幹細胞疲弊症の治療を行うかどうかは 医師・医療機関の判断となります。詳しくは、最寄りの眼科へご相談ください。
治療費用はどの程度かかるのでしょうか?

この自家培養角膜上皮を用いた治療は高額療養費制度の対象となります。患者の自己負担額は、所得にもよりますが、月額6~25万円程度(2018年6月現在)とされています。高額療養費制度の詳細については、下記厚生労働省のホームページをご覧ください。

角膜の再生医療については、「再生医療ナビ」もご覧ください。