事業等のリスク

リスク情報

当社は再生医療製品事業、再生医療受託事業及び研究開発支援事業を展開していますが、以下において、当社の事業展開その他に関してリスクとなり得る主な事項を記載しています。当社として必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記載しています。なお、当社はこれらのリスクを認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めますが、それらをすべて回避できる保証はありません。また、当社事業に関連するすべてのリスクを網羅するものではありませんのでご留意ください。
以下の記載は、当事業年度(2020年3月期)末現在において当社が判断したものですが、新型コロナウイルスの影響に基づく記載については、当事業年度末以降、現在までに当社が判断した最新のものを記載しています。

Ⅰ.当社事業に関するリスク

(1)再生医療製品事業

①市場規模について

a)自家培養表皮ジェイス

自家培養表皮ジェイスは「重症熱傷(自家植皮のための恵皮面積が確保できない重篤な広範囲熱傷で、かつ受傷面積として深達性Ⅱ度及びⅢ度熱傷創の合計面積が体表面積の30%以上の熱傷)」、「先天性巨大色素性母斑(体表面積に占める母斑面積の割合が5%以上の患者の治療等、既存の標準的な治療法では母斑の切除に対応しきれない場合)」及び「表皮水疱症(難治性又は再発性のびらん・潰瘍を有する栄養障害型又は接合部型)」を適応対象としており、市場規模はいずれも限定的です。
そのため、一定以上のシェアを確保していたとしても、対象患者の発生状況により年間売上高が大きく変動する可能性があります。
本製品の特性上、本リスクは継続的に保有するものではありますが、医療機関との連携を密にすることにより、適用対象者を適切に把握し、本リスクによる影響を小さくすることに取り組んでいます。

b)自家培養軟骨ジャック

自家培養軟骨ジャックは、「膝関節における外傷性軟骨欠損症又は離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く。)の臨床症状の緩和」を適応対象とし、さらに「ただし、他に治療法がなく、かつ軟骨欠損面積が4cm2以上の軟骨欠損部位に適用する場合に限る」とされているため、市場規模は限定的です。
そのため、一定以上のシェアを確保していたとしても、対象患者の発生状況により年間売上高が大きく変動する可能性や、他社の参入により限られた市場におけるシェアが確保できなくなる可能性があります。
本製品の特性上、売上変動リスクは継続的に保有するものではありますが、医療機関への周知活動により本リスクによる影響を小さくすることに取り組んでいます。また、市場を拡大するための適応拡大の治験を推進しています。

c)自家培養角膜上皮ネピック

自家培養角膜上皮ネピックは、「角膜上皮幹細胞疲弊症」と適応対象とし、さらに、「ただし、スティーヴンス・ジョンソン症候群、眼類天疱瘡、移植片対宿主病、無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患、再発翼状片、特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症の患者を除く」とされているため、市場規模は限定的です。
そのため、一定以上のシェアを確保していたとしても、対象患者の発生状況により年間売上高が大きく変動する可能性があります。
本製品の特性上、本リスクは継続的に保有するものではありますが、医療機関との連携を密にすることにより、適用対象者を適切に把握し、本リスクによる影響を小さくすることに取り組みます。

②法的規制について

再生医療が我が国の成長戦略の一つとして位置付けられ、再生医療の普及を迅速に進めるための法整備が進められる一方で、医療費抑制や医療の質の向上を目的とした医療改革が継続的に行われています。今後、予測できない法改正や医療行政の方針変更等による急激な環境変化が生じた場合には、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

a)承認条件について

自家培養表皮ジェイス(母斑及び表皮水疱症)、自家培養軟骨ジャック、自家培養角膜上皮ネピックには、使用成績調査の実施が課されており、再審査の対象となっています。その結果によっては、承認が取り消される可能性が完全には否定できません。使用成績調査は承認後の数年単位の実施が課せられており、使用成績調査終了後に再審査の判断がされますが、これに先立ち、成績内容を分析・評価することにより事前にその影響を想定することができます。
また、自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャック、自家培養角膜上皮ネピックは、製造販売承認において明確に適応対象が定められています。当社は、適応対象以外の疾患や使用方法への適応拡大(一部変更承認)を目指したいと考えていますが、治療における患者のリスクとベネフィットの観点から適応拡大が認められない可能性があります。
治験は数年単位で実施されるため、治験成績を分析・評価することにより事前にその影響を想定することができます。

b)保険適用について

自家培養表皮ジェイス、自家培養軟骨ジャック、自家培養角膜上皮ネピックは、保険算定に関する留意事項が付与されています。今後、当該保険算定の条件が変更となった場合、内容によっては当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
保険の見直しは2年毎に行われますが、当社は適正な保険算定がされるように情報提供を行い、その影響が小さくなるように取り組んでいます。

c)薬事審査プロセスについて

当社は、医薬品医療機器総合機構の助言を得ながら、開発受託を含む再生医療等製品の開発を進めていますが、治験において期待どおりの有効性と安全性が証明できない、薬事承認プロセス等において適応対象が限定される等、当社の想定どおりに開発が進まない可能性があります。
当社は過去の経験から薬事承認に関する様々なノウハウを有し、適切なタイミングで規制当局に相談も行っており、その影響が小さくなるように取り組んでいます。

③ヒト又は動物由来の原材料の使用について

ヒト細胞組織を利用した再生医療等製品においては、ヒト細胞組織の特性にばらつきがあり、製品規格を満たさずに出荷できない可能性があります。また、原材料や製造工程で使用する培地には動物由来原料を使用しており、未知のウイルスによる被害等が発生し、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性を完全には否定できません。
当社は原材料や供給元を厳選し、必要に応じて監査を行うことでこの影響が小さくなるように取り組んでいます。

④競合について

近年、新たな製品が相次いで承認されたこと等を背景に、今後、再生医療業界へのさらなる新規参入者の増加及び競争の激化が予測されます。競合製品や新規技術の登場により当社製品の優位性を保持できなかった場合、当社が想定する売上を確保できない可能性があります。競合製品の治験や開発状況は可能な限り情報収集することで早い段階から対策を講じ、この影響を小さくするように取り組んでいます。

⑤再生医療全般にわたる信頼性について

再生医療に関係する医療事故等が発生した場合には、当社の製品や役務が直接関係していなかったとしても、ネガティブなイメージとして再生医療業界及び再生医療等製品の全体に関わる問題として市場からの信頼が失われ、当社の経営戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、再生医療を一般に広めるための情報発信を適時適切なタイミングで行い、誤解や思込み等による影響が小さくなるように取り組んでいます。

(2)再生医療受託事業
自家培養表皮ジェイスは「重症熱傷(自家植皮のための恵皮面積が確保できない重篤な広範囲熱傷で、かつ受傷面積として深達性Ⅱ度及びⅢ度熱傷創の合計面積が体表面積の30%以上の熱傷)」、「先天性巨大色素性母斑(体表面積に占める母斑面積の割合が5%以上の患者の治療等、既存の標準的な治療法では母斑の切除に対応しきれない場合)」及び「表皮水疱症(難治性又は再発性のびらん・潰瘍を有する栄養障害型又は接合部型)」を適応対象としており、市場規模はいずれも限定的です。
そのため、一定以上のシェアを確保していたとしても、対象患者の発生状況により年間売上高が大きく変動する可能性があります。
本製品の特性上、本リスクは継続的に保有するものではありますが、医療機関との連携を密にすることにより、適用対象者を適切に把握し、本リスクによる影響を小さくすることに取り組んでいます。
(3)研究開発支援事業
当社は、研究開発支援事業として、研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズを化粧品、製薬、食品、化学品、日用品、農薬等の製造企業や安全性試験受託機関等に販売していますが、当市場には競合企業が複数存在します。そのため、競争の激化に伴う販売量の伸び悩みや、過当競争による販売価格の下落等により収益性が低下する可能性があります。
本リスクは、事業上の一般的なリスクであり、いつでも生じうるものですが、当社は研究用ヒト培養組織ラボサイトシリーズを使用した試験方法をOECDテストガイドラインに収載することでこの影響を小さくするように取り組んでいます。
(4)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響について
新型コロナウイルス感染症が世界規模で拡大し、各国で入国や行動を制限する動きが広がったことで人・モノの動きが滞り、世界経済全体でマイナス影響が拡大しています。国内においても、いまだ終息の目途が立たない新型コロナウイルスの影響から社会不安が拡大しており、国内景気は減速・悪化傾向が強まるとともに、感染者の急激な増加や医療従事者の感染等により医療崩壊が懸念されています。
再生医療製品事業においては、救命救急、形成外科、皮膚科、整形外科などさまざまな医療現場と、当社は密接に関わっています。顧客である医療機関は新型コロナウイルス感染への対応で逼迫しており、当社はこのような医療機関の状況を考えて直接訪問による営業活動を自粛しています。また、外出や移動の自粛に伴う来院者数の減少は、当社製品の使用減少だけでなく、当社が実施する治験の参加者の減少につながり、売上高とともに開発スケジュールにも影響が出る可能性があります。
再生医療受託事業においては、委託元である顧客企業での開発に影響が発生する可能性があります。国内景気の減速・悪化に伴う企業業績や資金調達への影響、医療機関における治験計画の遅れ、などに伴う委託元の開発遅延は、当事業の業績にマイナス影響を与える要因ですが、現時点でその影響度や期間を予測することは困難です。
研究開発支援事業においては、顧客の企業・研究機関で研究者が在宅勤務となり、実験や評価が先送りとなる等の理由により、当社製品の受注が急速に減少しています。今後、顧客企業が業績悪化等を懸念して研究開発の方針や優先順位を見直すことも想定され、新型コロナウイルスの感染収束後も需要が元の水準に戻るには時間がかかる可能性があります。
新規パイプラインの開発においては、医療機関で実施する治験等で影響が出ています。新型コロナウイルス感染者への対応で逼迫している医療機関に対しては治験を促せる状況になく、来院者数の減少も治験参加者の確保を難しくしています。治験の長期化は、開発コストの増加や開発スケジュールの遅れにつながりますが、その影響の範囲についても現時点では予測が困難です。
上記のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響は当社の事業全体に大きな影響を与える可能性が高いですが、当社の存続に影響を与えるものではないと判断しています。新型コロナウイルスが収束した後も一定期間の影響は残ると考えられますが、その程度については、当社で分析・評価ができ次第、すみやかに公表を予定しています。なお、我が国の経済活動が平常時に戻ることで当社の事業も回復するものと考えています。

Ⅱ.会社体制に関するリスク

(1)研究開発体制
当社は、新製品や適応拡大の実現に向けて、研究開発本部を中心に、大学等の研究機関ならびに医療機関や医療関係者と連携・協働した研究開発活動を推進していますが、このような活動は国の政策や社会情勢により影響を受ける場合があります。また、共同研究の中止や知的財産権のライセンス交渉が順調に進まない等、当社の想定通りに活動が進まない可能性があります。さらに、他社の知的財産権を侵害することがないように十分な注意を払って研究開発活動を行っていますが、意図せずに他社の知的財産権を侵害する可能性を完全には否定できません。
当社は、設計開発を適切にマネジメントし、開発活動の一環として知的財産権の侵害の可能性を調査することにより、本リスクの影響を小さくするように取り組んでいます。
(2)生産体制
当社は、高品質で安全性の高い製品を生産するための製造施設・設備(ハードウェア)と、人・物の動線管理や標準作業手順書等の運用管理(ソフトウェア)をバランス良く備えた生産体制を構築しています。また、生産工程について十分に教育・訓練を受けた作業者が製造にあたっています。しかしながら、生産能力を超えるような急激な受注増が生じた場合、設備や人員が不足し、受注に対応しきれない可能性があります。
また、生産拠点が愛知県にある本社工場のみであり、南海トラフ大地震等の自然災害や何らかの事故等により製造インフラが機能しなくなった場合には、製品を供給出来なくなる可能性があります。
当社は、受注状況や計画に応じた人員増強や教育の推進を図るとともに、生産活動の効率化等の生産改善に努めることでこの影響を小さくするように取り組んでいます。また、大規模災害等を想定したインフラ整備や運用整備を図っています。
(3)販売体制
ヒト細胞を組み込んだ当社製品は、医療機関等のユーザーと緊密に連携し、適正な使用方法の開発・促進や安全対策への取組み等に対応できる販売体制の構築が必要です。そのために、医療機関等のユーザーへの適切な情報提供、製品仕様に関する説明等の技術的な知識を備えた営業担当者を教育・育成し、営業活動を担わせています。今後、新製品や適応拡大による市場の拡大に備えてさらなる販売体制の強化(営業担当者の増員、営業手法の効率化、ロジスティックの見直し等)を進めますが、あまりに急激に市場が拡大した場合、体制の強化が間に合わず受注に対応しきれない可能性があります。
当社の新規製品は薬事承認を必要としたものが主であり、市場に投入される時期も予測可能であるため、計画的に販売体制を整備することでこの影響を小さくするように取り組んでいます。
(4)人材確保・育成
当社の発展のためには、優秀な人材の確保を重要課題と捉えており、事業計画に沿った採用活動を実施しています。さらに社内においては人材育成の充実、人事・評価制度の改善等により、活気ある企業づくりを目指しています。しかしながら、事業計画で必要とする数の人材を確保出来ない可能性や、時間とコストをかけて育成した人材が引き抜き等により社外に流出する可能性があり、その場合、当社の事業運営に支障をきたす可能性があります。
当社は、風通しの良い社内風土の醸成や計画的な人員増強等を行っており、様々な働き方が可能な制度の導入を通じてこの影響を小さくするように取り組んでいます。