コラム・トピックス

2023年12月15日【ピックアップ】

自家培養軟骨に関する論文が掲載されました

島根大学医学部整形外科学教室 内尾 祐司 教授らによる重度内側変形性膝関節症患者に対する膝内側側副靱帯リリースを伴う自家培養軟骨移植術の長期成績に関する報告

内尾 祐司 教授らは、両膝に変形性膝関節症を患う62歳女性に対し、製造販売承認前に行われた治験での自家培養軟骨移植術(10年)の長期観察データを報告しました。今回、本報告が、『The Journal of Bone & Joint Surgery Case Connector』に掲載されましたのでご紹介します。

<注意事項>
〇治療の決定は患者さん自身と医療関係者が決定するものであり、本サイトに掲載される情報は治療上の決定を代替したり、助言したりするものではありません。
〇ここに記載されている情報はいかなる医薬品等を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。
本報告の情報は本邦で承認を受けた適応に関するものではなく、 効能効果やデータの正確性を保証するものではありません。

報告内容

  • 自家培養軟骨の製造販売承認前に行われた治験において、両膝に変形性膝関節症を患う62歳女性に対し、右膝に高位脛骨骨切り術(HTO)を施行(49歳当時)、左膝に膝内側側副靱帯(MCL)リリースを伴う自家培養軟骨細胞移植術(pMACI)を施行した(52歳当時)
  • 13年の追跡調査結果において、臨床スコアが良好であり、ウォーキングやトレッキングが可能であった
  • 術後の患者満足度が高かった
  • 再検査の関節鏡検査において、左膝に軟骨様修復組織が見られた

本結果より、内尾教授らは、「MCLリリースとpMACIの併用が、HTO の代替となる可能性があると示唆された」と報告しています。
※軟骨置換手術を受ける内反膝がHTO禁忌の場合


自家培養軟骨は、2012年7月に、整形外科領域では国内初となる再生医療等製品として、膝関節の外傷性軟骨欠損症と離断性骨軟骨炎(変形性膝関節症を除く)を対象に国から承認され、2013年4月より公的保険が適用されています。

当社では、より広い患者さんの膝治療に貢献すべく、上記疾患に加え、自家培養軟骨の変形性膝関節症を対象とした治験を実施しています。治験は計画通り進んでおり、最終症例の治療が終了し、全例の経過観察を完了しました。

当社は、今後もより多くの患者さんに自家培養軟骨をお届けできるよう、変形性膝関節症への適応拡大を目指すとともに、引き続き、既存製品のさらなる普及に加え、患者さんの生活の質(QOL)の向上に貢献していきます。

島根大学医学部整形外科学教室のホームページ:

https://www.med.shimane-u.ac.jp/orthop/index.html

自家培養軟骨移植術の特徴(再生医療ナビ):

https://saisei-navi.com/hiza/cartilage_treatment/feature/

論文情報

掲載誌 The Journal of Bone & Joint Surgery Case Connector
タイトル A Single Case Study Comparing High Tibial Osteotomy With Matrix-Associated Autologous Chondrocyte Implantation With Medial Collateral Ligament Release Treating Bilateral Severe Medial Knee Osteoarthritis
著 者 Yuji Uchio 1, Junji Iwasa, Suguru Kuwata, Taku Tadenuma
1:Department of Orthopaedic Surgery, Shimane University, Izumo, Japan.