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2024年11月15日【ピックアップ】

自家培養軟骨 7年間にわたる全例の使用成績調査データの分析結果を公表

当社は自家培養軟骨の製造販売承認取得以来、7年間にわたって全症例を対象とする使用成績調査を実施しました。その結果をとりまとめ、2019年10月に再審査申請した結果、厚生労働省より承認時の安全性、有効性が改めて確認され、【効能、効果又は性能】に変更なく2022年6月に承認されています。

この度、上記の使用成績調査結果を外部の専門家からなる第三者委員会(内尾祐司先生(島根大学)、黒田良祐先生(神戸大学)、二木康夫先生(藤田医科大学東京)、石橋恭之先生(弘前大学)ら)にて独自に解析した結果が、権威あるThe American Journal of Sports Medicineに掲載されました。

論文情報

掲載誌: The American Journal of Sports Medicine
タイトル: Effectiveness and Safety of Matrix-Associated Autologous Chondrocyte Implantation for the Treatment
of Articular Cartilage Defects: A Real-World Data Analysis in Japan
著者: Yuji Uchio, Ryosuke Kuroda, Yasuo Niki, Katsura Sugawara, Yasuyuki Ishibashi

膝の広範囲(4㎝²以上)軟骨欠損に対する自家培養軟骨を用いた治療により、225名(232膝)の患者さんの約 75% で膝スコアの改善が見られました(2年間の追跡調査)。患者さんの平均年齢は40.9 ± 15.0歳でした。骨切り術(50膝)、靭帯再建術(27膝)、半月板手術(28膝)、自家骨軟骨柱移植(24膝)、マイクロフラクチャー(14膝)などの併用手術が約半数の113膝(48.7%)で実施され、患者さんの約3割で術後に有害事象が発生し、4.7%で追加の軟骨手術が必要となりました。

自家培養軟骨の製造販売承認取得後の全例のリアルワールド(実臨床)データは世界でも珍しく、他国の類似の臨床研究と比較しても、良好な成績であったと考察されています。

なお、2019年に患者さんへの更なる侵襲低減を目的として、自家培養軟骨移植部を覆う方法を、患者さんの脛骨から採取する骨膜から人工コラーゲン膜に変更しています。この変更により、有効性と安全性が更に高まる可能性も示唆されています。

当社では、より広い患者さんの膝治療に貢献すべく、上記疾患に加え、自家培養軟骨の変形性膝関節症を対象とした治験を実施し、2024年6月に一部変更承認申請書を厚生労働省に提出しました。2026年3月期の上市を目標としています。

当社は、今後もより多くの患者さんに自家培養軟骨をお届けできるよう、変形性膝関節症への適応拡大を目指すとともに、引き続き、既存製品のさらなる普及に加え、患者さんの生活の質(QOL)の向上に貢献していきます。

自家培養軟骨移植術の特徴(再生医療ナビ):

https://saisei-navi.com/hiza/cartilage_treatment/feature/