ニュースリリース

2024年06月26日ニュースリリース

ヒト3次元培養表皮モデル「ラボサイト エピ・モデル24」を用いた 皮膚感作性試験法「EpiSensA」が世界標準化

株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング(本社:愛知県蒲郡市、社長:畠 賢一郎)は、このたび、花王株式会社(以下、「花王」)が開発した、当社製品ヒト3次元培養表皮モデル「ラボサイト エピ・モデル24」を用いた皮膚感作性試験法「EpiSensA」が、経済開発協力機構テストガイドライン(OECD TG442D)※1に収載(標準化)されましたので、お知らせします。

皮膚感作性試験とは、化学物質が皮膚に接した場合に皮膚アレルギーを誘発するリスクを評価する試験のことです。近年、化粧品をはじめ、化学物質、医薬品、医療機器、農薬等の研究開発において、動物実験代替の動きが世界的に加速しています。中でも、アレルギー反応を評価する感作性試験へのニーズは高く、市場拡大が見込まれています。「ラボサイト エピ・モデル24」を用いた皮膚感作性試験法「EpiSensA」は、花王が開発した試験法であり、世界に先駆けて、皮膚アレルギー誘発リスクを評価する方法としてOECD TG442Dの基準を満たしていることが認められました。ヒト3次元培養表皮モデルを用いた皮膚感作性試験法の標準化は、世界初です。

ラボサイト エピ・モデル24
ラボサイト エピ・モデル24

当社は、医療用の自家培養表皮、自家培養軟骨などの再生医療等製品の開発・製造・販売を通じて蓄積した細胞培養などに関する技術・ノウハウを活かし、研究用ヒト培養組織「ラボサイト シリーズ」(表皮モデル、角膜モデル)を展開しています。ヒト組織に極めて近い構造を再現し、化粧品や日用品の開発などでの安全性確認試験において動物実験の代替が可能であるため、幅広く使用されています。「エピ・モデル24」を用いた皮膚刺激性試験法及び皮膚腐食性試験法ならびに「角膜モデル24」を用いた眼刺激性試験法は、既にOECDのテストガイドラインに収載※2されています。

当社は今後も、「ラボサイト シリーズ」の提供を通じて動物実験代替を支援し、日用品、医薬品、化粧品、化学品メーカーなど、広く化学物質を扱う国内・海外の企業の開発をサポートするとともに、再生医療のさらなる発展と患者さんの生活の質(QOL)向上に寄与することを目指します。

※1 経済開発協力機構テストガイドラインとは、経済開発協力機構(OECD)が化学物質の特性や安全性を評価する試験方法を国際的に共通化することを目的としたガイドラインです。OECD TG442Dは、ヒト皮膚の生化学的・生理学的特性に極めて類似するよう設計された、ヒト皮膚モデルを用いて化学物質の感作性を評価する試験法です。詳しくはOECDホームページをご覧ください(英文)。
※2 「エピ・モデル24」を用いた皮膚刺激性試験はOECD TG439、皮膚腐食性試験はOECD TG431、「角膜モデル24」を用いた眼刺激性試験はOECD TG492に収載されています。

皮膚感作性試験法「EpiSensA」について

花王株式会社は、皮膚の大部分を占める角化細胞で感作成立に関与するマーカー遺伝子を見いだし、皮膚の代替として人工皮膚モデルを用いる次世代型の代替試験法「EpiSensA」を開発しました。人工皮膚モデルは実際の皮膚と類似構造を有し、既存代替試験法で課題であった油溶性原料を動物実験のように塗布、評価できます。