製品概要
承認年月日 | 2020年3月19日 |
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一般的名称 | ヒト(自己)角膜輪部由来角膜上皮細胞シート |
販売名 | ネピック |
自家培養角膜上皮ネピック®は、イタリアのG.Pellegrini博士らの方法に準じて製造された自家培養角膜上皮であり、株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリングの技術によって生産管理された製品です。H.Green教授らの報告で表皮細胞の培養に用いられている3T3細胞(マウス由来)と由来を同じくする細胞を用い、患者さまご自身の角膜輪部組織から分離した角膜上皮細胞をシート状に培養します。
ネピック®の製造工程では、組織の受け入れ検査、工程検査、確認検査など、製品としての安全・有効性を担保する規格を設定し、厳密な品質管理を行っています。
ネピック®は、患者さまからおあずかりした細胞を培養してつくられるため、お引き受けしてから製造を開始する完全なオーダーメイドの製品です。治療にあたる先生方と、販売元である株式会社ニデックとの間で十分な連携が不可欠です。
自家培養角膜上皮ネピック®の添付文書は独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページ(再生医療等製品添付文書)にてご覧いただけます。
適応対象
角膜上皮幹細胞疲弊症。ただし、以下の患者を除く。
- スティーヴンス・ジョンソン症候群の患者
- 眼類天疱瘡の患者
- 移植片対宿主病の患者
- 無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患の患者
- 再発翼状片の患者
- 特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症患者
承認条件
本品は下記のとおり承認条件が付いております。
- 角膜上皮幹細胞疲弊症に関連する十分な知識及び経験を有する医師が、本品の使用方法に関する技能や手技に伴う合併症等の知識を十分に習得した上で、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療に係る体制が整った医療機関において「効能、効果又は性能」並びに「用法及び用量又は使用方法」を遵守して本品を用いるよう、関連学会との協力により作成された適正使用指針の周知、講習の実施等、必要な措置を講ずること。
- 治験症例が極めて限られていることから、原則として再審査期間が終了するまでの間、全症例を対象に使用の成績に関する調査を実施することにより、本品使用患者の背景情報を把握するとともに、本品の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本品の適正使用に必要な措置を講ずること。
- 本品の製造過程にフィーダー細胞として用いられているマウス胎児由来3T3-J2細胞にかかる異種移植に伴うリスクを踏まえ、最終製品のサンプル及び使用に関する記録を30年間保存するなど適切な取扱いが行われるよう必要な措置を講ずること。
講習会のご案内
ネピック®は、「関連学会の定める適正使用指針を遵守し、角膜上皮幹細胞疲弊症に関する十分な知識及び経験を有する医師が、本品の使用方法に関する技能や手技に伴う合併症等の知識を十分に習得した上で、角膜上皮幹細胞疲弊症の治療に係る体制が整った医療機関において本品が適切と判断される症例についてのみ使用すること」と定められております。
各医療機関において随時「講習会」を開催しております。
詳細は、株式会社ニデック 再生医療製品販売課(TEL:0533-67-8840)にお問い合わせください。
保険適用
自家培養角膜上皮ネピックは、2020年6月1日より保険収載されました。保険算定に関する留意事項が付与されています。
保険償還価格
- 組織運搬セット:4,280,000円
- 培養角膜上皮パッケージ:5,470,000円
保険算定に関する留意事項
- 角膜上皮幹細胞疲弊症(スティーヴンス・ジョンソン症候群の患者、眼類天疱瘡の患者、移植片対宿主病の患者、無虹彩症等の先天的に角膜上皮幹細胞に形成異常を来す疾患の患者、再発翼状片の患者、特発性の角膜上皮幹細胞疲弊症患者を除く。)であって、重症度StageⅡA(結膜瘢痕組織の除去(必要に応じて羊膜移植)を行ったにもかかわらず角膜上皮の再建に至らない場合に限る。)、重症度StageⅡB又はⅢの患者に対して使用した場合に、片眼につき1回に限り算定できる。
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次のいずれにも該当する医師が使用した場合に限り算定する。
眼科の経験を5年以上有しており、角膜移植術を術者として5例以上実施した経験を有する常勤の医師であること。
所定の研修を修了していること。なお、当該研修は、次の内容を含むものであること。- 自家培養角膜上皮の適応に関する事項
- 角膜上皮幹細胞疲弊症の重症度判定に関する事項
- 角膜採取法に関する事項
- 移植方法に関する事項
- ヒト自家移植組織(自家培養角膜上皮)を使用した患者については、診療報酬請求に当たって、診療報酬明細書に角膜上皮幹細胞疲弊症の重症度を含めた症状詳記を添付する。
製造販売後調査等
実施状況
使用成績調査 | 実施中 調査登録期間:2020年3月19日〜2028年2月22日 |
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製造販売後臨床試験 | 非実施 |
有害事象・不具合情報
再審査期間中使用成績等定期報告
自家培養表角膜上皮ネピック再審査期間中使用成績等定期報告において当局報告した有害事象・不具合一覧(1〜4年次報告)
<参考>再生医療等製品不具合・感染症症例報告等の実施状況
再生医療等製品不具合・感染症症例報告は、医薬品医療機器等法(改正薬事法)により定められた製品の不具合及び副作用が疑われる症例を広く報告する制度です。よって、製品或いは関連する医療行為と報告対象との間に因果関係があると判断された上で行われているということを意味するものではありません。