コラム・トピックス

2022年03月15日【市民公開講座】

J-TEC市民公開講座 第6回「アスリートのひざを治す」

神戸大学 大学院医学研究科・医学部 整形外科学 黒田 良祐 先生

本講座は一般の方々に「整形外科」の最新情報を定期的にお届けすることを目的としています。毎回、自家培養軟骨移植術を多数ご経験されている整形外科の先生を講師にお招きします。今回の講師は、神戸大学 大学院医学研究科・医学部 整形外科学の黒田良祐先生です。

神戸大学整形外科ではリハビリテーションを中心とした手術をしない保存的な治療はもちろんのこと、スポーツ損傷に対する関節鏡を用いた四肢関節の手術、ナビゲーションを用いたより正確な人工関節手術、変形した関節を温存して治療する矯正骨切り手術、悪性腫瘍に対する患肢温存手術、インストルメンテーションを用いた脊椎・脊髄の手術、マイクロサージェリーなど、様々な外科的治療を積極的に行っています。また近年では、IT技術を駆使したコンピューター支援手術、内視鏡を使用した関節・脊椎の低侵襲手術、炭酸ガスを用いた組織再生治療、最新の再生医療技術を織り込んだ軟骨・骨再生治療など、様々な新しい治療にも取り組んでいます。

黒田先生には、半月板損傷、疲労骨折、関節軟骨損傷、前十字靭帯損傷について実際の症例を用いて、けがの経緯、治療法について分かりやすくお話しいただきました。またそれぞれの治療のメリット・デメリットと手術成績を、最新のデータとともにご解説いただき、術後の注意点についてもお示しいただきました。是非、ご視聴ください。
(撮影日:2021/12/28)

参考リンク:

神戸大学 医学部 整形外科:https://www.med.kobe-u.ac.jp/ortho/prof-ryosuke-kuroda/

動画の内容:

半月板損傷(1:55)
疲労骨折(4:50)
関節軟骨損傷(710)
前十字靱帯損傷(10:10)

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用語解説  ◆これであなたもひざ博士!◆

半月板縫合術と切除術
半月板損傷時には縫合術か切除術を行います。前十字靭帯損傷と同様に、半月板は損傷の頻度が高く、膝関節における衝撃吸収機能や膝関節安定性に寄与するなど重要な役割を担っています。半月板切除術を行った場合、高率に変形性膝関節へと進行するため、縫合可能な損傷は可能な限り縫合治療を行います。また神戸大学では、適応に応じてFibrin clotを使用した半月板縫合術を行っており、さらなる成績向上を目指しています。

関節軟骨損傷の治療
神戸大学では、軟骨損傷に対してマイクロフラクチャー(骨髄刺激)、モザイクプラスティー(自家骨軟骨柱移植)、骨切り術などの従来の治療法に加えて、自家培養軟骨細胞を用いた治療を行っています。大きな軟骨欠損に対してはこれらの標準治療では治癒をみることが困難であり、2012年9月より先端医療センター病院(現:神戸市立医療センター中央市民病院 南館)(http://chuo.kcho.jp/outline_index)との共同で第三世代自家培養軟骨移植術を行い、良好な成果を確認しています。現在まだ治験段階ですが、ヨーロッパでは2000例以上の実績があり、国内では初の治療となり、今後標準治療への定着を目指しています。現在は自家培養軟骨が2013年4月1日付で保険適用となっており、神戸大学でも大きな軟骨欠損に対して治療を行っています。
神戸大学医学部整形外科:
https://www.med.kobe-u.ac.jp/ortho/to-patients/sports-and-lower-extremity/