コラム・トピックス

2025年05月13日【再生医療★インサイド】

自家培養軟骨の一部変更承認

畠社長

 5月13日、念願の自家培養軟骨の一部変更承認をいただきました。当社設立の目標であった患者さんご自身の細胞を使った膝軟骨治療が、より現実的になります。これまで、本当に多くの方々に助けていただきながら、この日を迎えることができました。承認いただいた条件は、私たちが目指していた疾患を反映しています。これにより、より多くの患者さんに新しい医療を届けることができます。心からありがたく思っています。

 自家培養軟骨は2012年に承認をいただいてから1,900例を超える患者さんにお使いいただいています。とはいえ、これまでの適応症はかなり限られたものでした。そのような中、この自家培養軟骨による治療実現にあたっては多くの先生方に助けていただきました。再生医療の社会実装において、われわれ企業の製品が果たす役割は一部に過ぎません。先生方の技術に加え、適切な病態の選択もきわめて重要です。昨年、先生方のご協力により、自家培養軟骨の長期成績に関する論文が著名な雑誌に掲載されました。再生医療の真骨頂は、治療後に長期間その良い状態が維持できる可能性があることです。そういう意味でも、今般、長期間の治療成績をお示しいただいたことは、とても意義深いことだと思っています。この製品がさらに多くの方々の治療にお使いいただけるものだと確信しました。

 今回の臨床試験には約5年という想定以上の時間を要しました。ちょうどコロナ禍でもありましたし、従前の治療方法との比較試験でしたので、患者さんや医療機関の先生方にも多大なるご理解・ご協力をいただきました。おかげさまで、治験では主要評価項目を十分に満たすことができました。くわえて、患者さんの治療部位の多くが正常軟骨のような組織で治っていることもお示しできました。これら結果が先生方から一定のご評価をいただけたことは、これまでの活動において最上の喜びです。真の「再生」を目指した治療として、この製品の価値を高めていただきました。

 私たちは、これから、この自家培養軟骨をしっかりと普及させていき、わが国発の治療を世界に示したいと思っています。再生医療先進国として、海外から名実ともに高い評価が得られるよう、正直に進めていきたいと思っています。そのことが、これまでお世話になった方々への恩返しになると信じています。患者さんの細胞を使った医療を実装するプラットフォームは現実化しています。機械化・自動化やこれに相当するデータサイエンスも準備が整ってきました。創業当初の想いが目前に来ています。

 多くの患者さんに「自家培養軟骨で治療してよかった」と言っていただけることを目指してさらに頑張ってまいります。

2025年5月13日